猫をマダニから守るには? / 猫に噛まれた女性、SFTSで死亡。噛んだ猫も感染か?

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猫に噛まれた西日本在住の女性が、2017年に「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で亡くなった。噛んだ猫も SFTSに感染していた可能性があったとのこと。また、猫もマダニに咬まれると人間と同じような症状が出るという情報もある。

SFTSは、発症すると命を落とす可能性がある恐ろしい病気だ。現時点で SFTSの有効な治療法は見つかっていない。猫も人も SFTSに感染しないために、どのような対策を取るべきだろうか?

マダニとは

マダニは世界で約800種おり、日本では約50種が確認されている。体長は3~8mmほどで、足は8本。活動期間は春~秋。冬は落ち葉の下などで越冬するが、暖かい地域では冬でも活動できる。ダニといっても、生物学上はクモ・サソリに近い。家の中にいる目に見えない小さなダニとは違う生物だ。

フタトゲチマダニ – Wikipedia

日本経済新聞は2017年に「野良猫にかまれた50代女性が『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』で亡くなった」と報じている。しかし、すべてのマダニが「SFTSウィルス」を持っているというわけではない。ウィルス保有率は 0~数%といわれており、地域や時期によって異なるようだ。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは

SFTSは、2011年に中国で見つかった「ダニ媒介性感染症」。2013年には日本国内でも感染者が確認された。2019年1月30日現在、国内で61名が亡くなっている。

人間が SFTSに感染した場合、以下のような症状が見られる。

「SFTSウイルスに感染すると6日~2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こす」

引用:重症熱性血小板減少症候群 – 国立感染症研究所

また猫の症状について、某製薬会社の方は以下のように説明していた。

某製薬会社の方「猫が SFTSを発症した場合は、人間と同じような症状が見られるそうです。ただ、確証が得られるほどの研究成果は上がっていません。

また、猫は人よりも症状が重く出るようで、死んでしまうことのほうが多いようです。さらに、SFTSに感染した猫の症例は、2018年10月時点で71件しか報告が上がっていません」

マダニを付着させないことが重要

マダニは自然が豊かな場所に生息しており、野生動物に寄生していた。しかし、市街地でも自然豊かな場所には生息している可能性がある。葉の上や裏にいることが多く、そこを人や動物が通った際に付着するようだ。

▼鹿に寄生するマダニ

鹿とマダニ 重症熱性血小板症候群に注意!
鹿とマダニ 重症熱性血小板症候群に注意!

猫とマダニを接触させないためには「猫を外に出さない」「完全室内飼育を徹底する」ことが重要だ。さらに、万一のことを想定し「レボリューションプラス」などの猫寄生虫駆除薬を投与し、マダニが猫を吸血した際に駆除できるようにしておきたい。

人間の場合は仕事などでやむを得ず、マダニが生息していそうな場所に行くこともあるだろう。気付かず室内に運び入れてしまうと、猫に付いてしまう危険がある。それだけは避けなければならない。家に入る前に、必ず「体に付着していないか確認する」ことが重要だ。

もしもマダニに咬まれたら

マダニに咬まれた場合どのように対処すればいいのか? 札幌社会保険総合病院 皮膚科の安藤佐土美医師は次のように書いている。

「取り付いて間もなければダニを容易に取り除くことができますが、時間がたつと口下片の周囲がセメント質で覆われて、容易に除去できなくなります。無理矢理取り除こうとすると虫体がちぎれて口下片が皮膚にのこり、炎症が長引く原因になります」

引用:医療の現場から『マダニの話』

犬に噛み付いたマダニを飼い主が除去した場合、マダニの口だけが残ってしまうという例もある。

「症例は9歳,メスの柴犬で,2017年8月,表面が潰瘍化した右上眼瞼の小結節(径3~4 mm)のため来院した(Fig. 1)。飼い主によると,同年6月に同部にマダニが付着いているのを発見し除去したが,その約1 ヶ月後に同部に径2~3 mm結節が出来ているのに気づいたとの事であった」

引用:ダニ刺咬による結節性リンパ球好酸球性皮膚炎の犬の1例

自分で取り除いたマダニは捨てずに、そのまま医療機関に持っていくこと。マダニの種類がわかれば診断のヒントになるからだ。

SFTSに治療法はない

現時点(2019年2月15日)で、SFTSの有効な治療法は見つかっていない。しかし、国立感染症研究所は以下のように説明している。

「国立感染症研究所では、ファビピラビルのSFTSV(SFTSウィルス)に対する抗ウイルス効果を培養細胞実験および動物実験で評価した。その結果、SFTSVの培養細胞での増殖は、ファビピラビルを培地中に添加することによって著しく抑制され、ウイルスが最大で1,000~10,000倍程度低下することが明らかにされた」

引用:抗SFTSウイルス薬開発の進捗状況(IASR Vol. 37 p. 49-50: 2016年3月号)

SFTSウィルスに対する薬の研究は進められているようだ。いつの日か、人間や猫・犬など、様々な生き物に対して有効な薬が開発されることを切に願っている。

愛猫の安全を守るのは自分

SFTSウィルスに感染しない唯一の方法は「マダニに接触しないこと」だ。しかし、生活環境によっては、マダニが生息する場所に足を踏み入れる場合があるかもしれない。万が一に備えて、猫には猫寄生虫駆除薬を投与し、人は長袖・長ズボンを着用するなどの対策が必要だ。

ちなみに、我が家では愛猫フェンに毎月、猫寄生虫駆除薬「レボリューションプラス」を投与している。「レボリューションプラス」に関しては「猫寄生虫駆除『レボリューション プラス』とは?」を参照してほしい。

マダニの SFTSウィルス保有率は「数%」と高くはないが、「0%」でない以上、油断はできない。猫を「外に出す、出さない」は人によって考え方が異なるだろう。しかし、愛猫が安全に暮らせるかどうかは、自分にかかっていることを忘れてはならない。

文:Bobo / 編:Wakame

参考リンク:
マダニ感染症、猫から感染 女性死亡 「ネコからヒト」初確認:日本経済新聞
東京都健康安全研究センター » マダニにご注意! ~マダニQ&A~
重症熱性血小板減少症候群
松阪市議会議員★山本節:鹿とマダニ 重症熱性血小板症候群に注意!
ダニ刺咬による結節性リンパ球好酸球性皮膚炎の犬の1例
抗SFTSウイルス薬開発の進捗状況
体験記“殺人ダニ”に咬まれる | rudymatuのブログ
フタトゲチマダニ – Wikipedia